この方は、本業は精神科のお医者様で、本も出してるプロのブロガーさんだ。
そのエントリ自体は勝敗にこだわって、心を立ち止まらせない方が良いというような話なのだ。
つまり、この後の内容とは全くかかわりがない。
ただ、ちょっとマ・クベ大佐を思い出したので、気軽にかいてみた。
もともとは、機動戦士ガンダムでマ・クベ大佐が負け惜しみのように言っていたセリフだが、成功裏に終わった後にもこのセリフは効く。挑戦に成功しても挑戦に失敗しても「戦いはこの一戦で終わるのではない」と呟けば、ぬかることなく次の戦いに向けて準備に入れる。油断せずに身心を整えられる。
「シロクマの屑籠」より引用。
ジオンの憂鬱
ジオン公国は宇宙での空間戦闘でモビルスーツ(MS)の優位性を示したと作中に描かれている。ところが、地上に降りてからのジオン軍はパッとしない。
重力下で運用するには、MSは重すぎる。
宇宙では艦船+MS+歩兵。
地上では航空部隊+MS+地上部隊+艦船(潜水艦含む)。
兵員に乏しいジオンにとって、多くの兵員を必要とする地上占領はマイナスが多い。
かつMSも宇宙での運用ほど高い効果は見込めない。
(既存の装甲車両では歯が立たない程度の制圧力、航空攻撃にはもろい。)
地上でしか取得できない資源地を占拠し、ジオン本国へ補給路を確保する戦略がベストだと思われる。
地球連邦政府を壊滅させようと考えれば地上への攻撃はマスト。
ところが、地上攻撃はコストが高い。
このあたりがジオンの憂鬱なところである。
オデッサ作戦への対処
オデッサの指揮を任されていたと思われるマ・クベ大佐の戦略は極めてシンプル。オデッサ鉱山を引き払い、資源、兵員、武装を可能な限りジオン本国に逃がすプラン。
メインは撤退なのだ。
連邦軍の一大反攻作戦として、地上での最大拠点であるオデッサへの攻撃が迫っていた。
すでに、通常兵力で戦うことは難しくなっていたのであろう。
撤退と同時に、オデッサに集まった連邦軍を水爆攻撃で殲滅するというプランである。
ここで、南極条約に禁止された水爆を使用しようとした、マ・クベ大佐を単純にヒールとする意見がある。
それはいささか平和ボケした意見である。
大国と小国が戦争すれば、現代でも小国が核兵器を使用する危険性は高いと思うべきだ。
(まして、それが自国の領内でないならば)
戦いはこの一戦にて終わるものではない
マ・クベ大佐は、こういう。「戦いはこの一戦にて終わるものではない。
考えても見よ、我々がジオン本国に送り届けた鉱物資源の量を。
ジオンは後10年は戦える」
これを負け惜しみと取るのもいささか子供っぽい考えだ。
彼は、オデッサに連邦軍を引き寄せ、水爆で殲滅しようとしていたのだ。
つまり、あらかじめオデッサが陥落することは織り込み済み。
水爆がガンダムに阻止されてしまったというのは、やや計算外だとしても。
そんな戦略的な彼が、負け惜しみなど言うだろうか?
大規模な作戦行動であったとしても、これは戦争の中の一戦に過ぎない。
すでに、資源を送るという役割は十分果たした。
これは戦略的撤退である、という意思表示だ。
もし、水爆がガンダムに阻止されていなければ、連邦軍は甚大な被害をこうむったことだろう。
そして、ジオンは後10年は戦えるほどの鉱物資源を所有している。
よって、我々がオデッサに固執する必要はない。
と彼は言ったのだ。
蛇足、マ・クベ大佐の誤算
地上から宇宙へ、マ・クベ大佐はキシリア少将の部下として動いている。そして、彼もまたガンダムとアムロに人生を引っ掻き回された犠牲者であった。
策士マ・クベ大佐は、テキサスコロニーで自らMSギャンを借り、ニュータイプのアムロを翻弄する。
まことに彼らしい見事な闘い方。
しかし、MSの操縦でも非凡でない彼であったが、根本的に他のジオンの将官と同じ過ちを犯す。
ガンダム(とホワイトベース)に、プロパガンダ的な意味を見て、なんとしても倒そうとしてしまったこと。